さて。
お久しぶりです、開発担当ゴータロー です。
ブログ書くたびにお久しぶり、とか言ってるのですが・・・
今回のネタは・・・
島村楽器の誇るHISTORYより「希少木材てんこ盛りギター弾きなら弾いてみたくなるよねスペシャル!」
という、スペシャルなモデルのお知らせです。
というわけでさっそく、ご紹介に行ってみます。
HISTORY ASHシリーズ
実はこのギター、HISTORY ASHシリーズの第2弾企画として作られました。
ASHシリーズってなに?? という方は
第1弾企画のブログをぜひご覧いただいて…
info.shimamura.co.jp
↑ASH(アナザーストーリーヒストリー)の第1弾企画のギターです。
この第1弾企画は
「希少木材てんこ盛りギター弾きなら弾いてみたくなるよね。しかもツウ好みのスモールボディギタースペシャル!」(長い。。。)
ということで大変ご好評をいただいたのですが、やはりみなさんから、ドレッドノートを望む声がたくさん届きました。
希少素材にこだわりました。
ですのでゴータロー、素材となる木を求めてさまよい歩きました結果。
ばばん。
トップにはヴィンテージ・マーティンに使用されていたことでも有名なアディロンダック・スプルースという材を使いました。
高い剛性を持ちながら軽量であり、アコースティックギターのトップ材としては最適な材だと言われています。
そしてどどん。
ボディにはボディの素材としては最高峰とされるハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)を使いました。希少性が高く、入手困難な素材の一つです。
独特の深みと奥行きがあるきらびやかなトーン、はハカランダの魅力だと思います。
やっぱりドレッドノートシェイプのギターをアディロンダック・スプルース&ハカランダで作ると、存在感がありますよね!
ネックはホンジュラス・マホガニーを1ピースで使用し、指板とブリッジはエボニーを使用しています!
そして、ナットとサドルはなんとマンモス象牙を使用しました!
(画:ゴータロー)マンモス象牙って、こんなのです。
そのまんまマンモスの牙、なのですが。
非常に密度が高く、立ち上がりの良さとクリアーな響きを持つ素材で、よく使用される「牛骨」と「象牙」の中間をとったような音だと言われています。
内部構造にもこだわりました。
と、まあ、素材に関しては
海〇雄山レベルのこだわりを見せました。
そして今回のASHは中の設計もかなり変わっています!
たとえば・・・
トップ材に使用しているアディロンダック・スプルースという材、実はかなり硬いのですが、アディロン独特のトーンを引き出すため、トップ材の厚さやブリッジプレートの素材やその他あれこれいろいろなところをコンマmm単位で手を入れています。
もちろん、ブレーシング(※1)のスタイルも見直し、「フォワードシフテッド・ブレーシング」を採用しました。
この「フォワードシフテッド・ブレーシング」を簡単に説明するとこんな感じです。
- 赤線:フォワードシフトブレーシングの位置
- 青線:フォワードシフトじゃないブレーシングの位置
- HISTORY NT-L3というモデルです。
図を見ていただくと、「ブレーシング」の交差するXの位置が前後に変化しているのが分かると思います。
すると、結果としてブリッジの下を通るブレーシングのかかり具合が変化します。
当然、「ブリッジの下に支えが少ない=フォワードシフト」の方が「ブリッジの下をキッチリ固めてある」そうじゃないブレーシングより、ボディトップの振動性が高まります。
一般的にトップは良く振動したほうがよい、と言われていますが、軟らかめの素材に対してあまり振動性を上げると、かえって芯のないトーンになってしまうなどということもよくあるのですが、今回のアディロンダック・スプルースのような硬い木にはフォワードシフトがよい影響を出すと考え、今回の設計を行いました。
(もちろん実際には、ブレーシングの位置だけですべてが決まるわけではなく「Xの交差角度」とか「ブレージング自体の形状」「ブレーシングを張る接着剤のタイプ」などによっても音はどんどん変わります。)
...と、ここまでは少し難しいお話になってしまいましたが
そんなこんなで完成したこのギター。
- ドレッドノートならではの迫力ある音量感
- 各弦バランス感の良さと分離の良さ
- クリアーな立ち上がりとサスティーンの深み
- ヴィンテージに寄せたスペック
で作ったギターですが
わざとらしいヴィンテージ感が無く、弾いていて気持ちの良いギターが完成したと思います。
さて、今回のこのモデル
HISTORY ASH-D/JSは12本の限定生産です。
すいません、それ以上はなかなか木材が集められません・・・
そしてなんとその12本の中には・・・
べべん!!
こんなギターがいました。
分かりますか?ベアクロウ(※2)が入ったアディロンです。
杢好きの方にはたまらないのではないでしょうか?
最後に簡単にスペックをまとめておきます。
ボディトップ | アディロンダック・スプルース単板 |
---|---|
ボディサイド | ブラジリアンローズウッド単板 |
ボディバック | ブラジリアンローズウッド単板 |
ネック | ホンジュラスマホガニー 1P(チタンサポートバー内蔵) |
ブリッジ | エボニー |
指板 | エボニー |
ナット&サドル | マンモス象牙 |
販売価格 | (税抜)¥799,200(税込¥740,000) |
ご興味を持ってくださった方、是非、島村楽器の店頭でお試しくださいね!
12本しかないので、お店にお取り扱いが無いこともありますが、近くのお店に取り寄せての試奏もできますよー。
HISTORYアコースティックギターブランドサイトはこちら
https://www.shimamura.co.jp/originalbrand/history/acoustic/index.htmlwww.shimamura.co.jp
※1 ブレーシング=トップ材を裏で支えている素材で力木とも呼ばれます。
※2 ベアクロウ=スプルース特有の杢目でその名の通りクマが爪でキズをつけたように見えることからその名がつきました。